研究課題
本年度はSSBE10例、LSBE10例、食道バレット腺癌10例の症例集積を終え、SSBE、LSBEに関してはDNA抽出が終了し、食道癌パネルを用いてライブラリの作成を開始している。すでにSSBE2例、LSBE2例でNGSによる網羅的な遺伝子解析は終了しており、SSBEでp53のoncogenicな変異を認め、発癌のリスクが低いとされているSSBEでも発癌ポテンシャルを有する症例が存在するという興味深い結果が得られた。バレット食道にNOTCH1の変異を有する症例もあり、腺上皮化成をおこしているにも関わらず、食道粘膜に類似した遺伝子変異の様式を有する症例があることも判明し、こちらも症例を集積しながら追跡する。食道バレット腺癌に関してはレーザーマイクロダイセクションを施行予定としており病理ブロックを外注先に提出済みである。バレット腺癌に関しては5月をめどにDNA抽出が完了する予定で、随時NGS解析へと進める。2021年夏ごろまでに3群の遺伝子的な比較検討を行う。またp53の免疫染色も食道バレット腺癌では既に終了しておりloss、過剰発現などに関して詳細に検討中である。食道内圧検査も特にLSBEの症例で進めており遺伝子解析結果が判明次第照会を施行する。前述したSSBEの症例は欧米の診断基準によるとバレット腺癌とは診断できず本邦の診断基準でのみ拾い上げが可能になる症例であった。本邦の診断基準の方がこの点においては発癌ポテンシャルを有する症例の正確な拾い上げが可能となる可能性がありこの点にも重点をおいて来年度の研究に繋げる所存である。
2: おおむね順調に進展している
症例の集積は概ね順調に進んでおり、遺伝子解析も徐々に進んでいる。食道バレット腺癌10例の症例集積を終え、SSBE、LSBEに関してはDNA抽出が終了し、食道癌パネルを用いてライブラリの作成を開始している。すでにSSBE2例、LSBE2例でNGSによる網羅的な遺伝子解析は終了しており、SSBEでp53のoncogenicな変異を認め、発癌のリスクが低いとされているSSBEでも発癌ポテンシャルを有する症例が存在するという興味深い結果が得られた。進行癌症例がまだ集められていないこと、食道機能解析の症例数が少ない事が課題である。食道バレット腺癌に関してはレーザーマイクロダイセクションを施行予定としており病理ブロックを外注先に提出済みである。バレット腺癌に関しては5月をめどにDNA抽出が完了する予定で、随時NGS解析へと進める。2021年夏ごろまでに3群の遺伝子的な比較検討を行う。p53の免疫染色も施行を開始しており、今後評価を行う予定である。本年においてはSSBE、LSBE、EACを主対象として主に症例の集積を行った。またそれらを対象に食道癌パネルを用いてライブラリ作成を行うところまで進めることが可能であった。今後もさらなる症例の集積が必要と思われるものの、研究開始初年後としてはおおむね順調に進展していると評価した。
手元にある症例の遺伝子解析、免疫染色を終え、バレット腺癌のみならず癌部周囲に背景粘膜、SSBE、LSBEの遺伝子プロファイルを明らかなにする。食道内圧検査も症例数を集積し遺伝子学的なプロファイルとの相関を検討する。
本年度に必要十分な物品を購入したが、やむを得ず余剰が生じた。
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