研究実績の概要 |
下記のような概要で研究を進めた。 【概要方法】2017年4月~2020年4月までに当院で上部消化管内視鏡を施行しBEと診断された24症例24病変[SSBE群12症例12病変,Long segment BE(LSBE)群12症例12病変],及び内視鏡治療を行ったEAC群9症例11病変(EMRC3例,ESD8例),計33症例35病変を対象とした.EACは治療後のFFPE検体からLaser micro dissectionにより癌部のみを切り出した. 各検体からDNAを抽出後,in houseで作成した食道癌panel (69遺伝子)を用いて次世代シークエンス解析を施行し,体細胞変異を同定した.【結果】患者背景[性別(M:F),年齢(median, range)]は,SSBE/LSBE/EACでそれぞれ7:5/10:2/8:1,62 (52-78)/ 65 (48-80)/ 69 (58-87)であり,バレット粘膜長(cm)は1 (1-2)/ 5 (3-17)/ 1.5 (1-4)であった. EACではTP53が最も頻度の高いputative driverであり8病変72.7%で認められた.TP53のputative driverはSSBE群の2例[coverage/allele frequency(%)はそれぞれ234/ 41.9,147/ 3.4]でも認められたが,LSBEでは1例も認められなかった.【結論】TP53のputative driverがSSBE2例(16.7%)においても認められた.内視鏡による通常観察で異型を疑わないSSBEも発癌ポテンシャルを有する可能性が示唆され,慎重な経過観察を要する必要があると思われた.
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