研究課題
アラキドン酸から5-リポキシゲナーゼ(5-LOX)により生成されるロイコトリエン(LT)は癌進展を促進することが知られる。本研究では臨床検体、肝癌マウスモデルを用いてLTの肝癌進展機構・産生免疫細胞の解析、標的治療の可能性について検討した。マウス肝癌細胞株BNLをBALB/cマウスに門脈内接種し肝癌マウスモデルを作製し5-LOX阻害薬を腹腔内投与した。多重免疫蛍光染色を用いLT産生免疫細胞を解析した。肝内LT量はELISA法で測定した。増殖能はMTT assayを、幹細胞能は定量PCR法、Sphere formation assayで評価した。骨髄細胞由来マクロファージ(BMDM)と肝癌細胞の共培養を行い5-LOX発現機構を解析した。肝癌切除86例で5-LOX高発現群38例は低発現群48例と比較し術後再発期間・全生存期間が不良であった。肝癌マウスモデルの肝腫瘍は正常肝より肝内LTB4、LTC/D/E4量が上昇し、5-LOX阻害薬により腫瘍増大が抑制された。肝癌細胞株にLTを添加すると増殖活性およびsphere数が増加し、ERK1/2のリン酸化亢進とSOX2、c-MYC発現上昇を確認した。ヒト・マウス肝癌組織の多重免疫蛍光染色では腫瘍関連マクロファージ(TAM)が5-LOX を発現していた。BMDMにGM-CSFを添加すると5-LOX発現が上昇した。多重蛍光免疫染色では肝癌細胞がGM-CSFを産生し、BMDMと肝癌細胞の共培養によりBMDMの5-LOX発現亢進を確認した。肝癌微小環境においてTAM由来LTB4、LTC/D/E4が癌増殖能や幹細胞能を亢進し腫瘍進展させる機構を解明した。肝癌細胞が産生したGM-CSFがTAMの5-LOX発現を亢進しLT産生を促進させること、LT産生抑制により肝癌進展が制御されることが示され、臨床応用性の高い新規治療標的の可能性が示唆された。
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