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2019 年度 実施状況報告書

lncRNAによる癌幹細胞制御メカニズムに基づいた肝細胞癌治療・診断法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K17460
研究機関鳥取大学

研究代表者

坂口 弘美  鳥取大学, 医学部附属病院, 医員 (00772287)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード肝癌幹細胞 / 長鎖非コードRNA / NEAT1 / オートファジー
研究実績の概要

本年度は肝細胞癌(HCC)の放射線感受性を決定する因子として、NEAT1ノックアウト(NEAT1-KO)HCC細胞株において細胞死誘導メカニズムの検討を行った。その結果、NEAT1遺伝子の欠損により、ネクロトーシスが亢進し、オートファジーが減少していることを見出した。ネクロトーシスは、放射線によって誘導されるプログラムされた細胞死誘導メカニズムである。またオートファジーは放射線感受性を規定するメカニズムとして報告がある。そこでこれらのメカニズムに関わる因子の探索を行ったところ、NEAT1-KO細胞株では、ネクロトーシスを誘導するPELI1が発現上昇し、オートファジーに必要なタンパク質であるGABARAPが発現低下していることを明らかにした。またNEAT1-KO細胞にヒトNEAT1発現ベクターを導入したレスキュー細胞では、これらの発現変動が消失することを確認した。ここまでの実験は、HuH7細胞株のみで行っているため、他のHCC細胞株としてHep3BとPLC/PRF/5細胞株からもNEAT1-KO細胞株を作製した。現在これらの細胞においてもNEAT1遺伝子の欠損によってPELI1とGABARAPの発現変化が再現されるか確認を行っている。またさらに、NEAT1欠損による細胞死誘導メカニズムを調べるうえで、株化したNEAT1-KO細胞を使用するのは、様々な科学的懸念が生じるのではないかと考え、アデノウイルスベクターによるNEAT1遺伝子ノックダウン系を新たに構築した。このアデノウイルスをHCC細胞株に感染させると、NEAT1の発現がノックダウンされ、GABARAPが発現低下しオートファジーが抑制されることを確認した。しかしPELI1については明らかな発現上昇は認められなかったため、今後GABARAPの発現抑制によるオートファジー阻害メカニズムに焦点を当て、検討を進めて行く予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

NEAT1欠損により異常を来す細胞死誘導メカニズムとしてオートファジーと、それに関与する因子としてGABARAPを見出した。今後このメカニズムと放射線感受性およびp21の関係について検討していくことで、本研究課題の速やかな達成が期待出来る。

今後の研究の推進方策

まずHep3BとPLC/PRF/5細胞株のNEAT1-KO細胞により、GABARAPの発現低下とオートファジー抑制の確認を行う。続いて、アデノウイルスベクターによるNEAT1ノックダウンにより、放射線感受性への影響や、GABARAPの発現制御メカニズムとオートファジー制御メカニズムを明らかにする。さらにGABARAP発現ベクターを作製し、p21の発現や放射線感受性について検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

産休、育休取得により中断したため。復帰後使用する予定。

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公開日: 2021-01-27  

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