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2021 年度 実施状況報告書

lncRNAによる癌幹細胞制御メカニズムに基づいた肝細胞癌治療・診断法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K17460
研究機関鳥取大学

研究代表者

坂口 弘美  鳥取大学, 医学部附属病院, 医員 (00772287)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード長鎖非コードRNA NEAT1 / 肝細胞がん / オートファジー / 放射線抵抗性
研究実績の概要

NEAT1を過剰発現する肝細胞がん細胞株を作製し、コントロール細胞と比較してGABARAPが発現亢進し、オートファジーが増強され、放射線抵抗性が亢進することを確認した。この細胞を使って、放射線照射後の細胞内酸化ストレスについて検討を行った。その結果、放射線照射によって細胞内の酸化ストレスが上昇するが、NEAT1の過剰発現により酸化ストレスの上昇が抑制されることが示された。また、ミトコンドリア由来の酸化ストレスに特異的な蛍光プローブを使って実験を行ったところ、ミトコンドリアからのスーパオキシドの漏出が、放射線照射によって増加することが示された。これに対し、NEAT1の過剰発現はスーパーオキシドの漏出を抑制することが示された。さらに抗酸化酵素の発現について調べたところ、NEAT1過剰発現細胞ではミトコンドリア特異的な抗酸化酵素であるSOD2が発現上昇していることが明らかとなった。また、NEAT1過剰発現細胞におけるこれらの検討結果と一致する結果が、アデノウィルスベクターを使ったNEAT1のノックダウンにおいても観察された。これらの検討結果より、NEAT1はSOD2を発現誘導し、放射線照射によるミトコンドリア由来酸化ストレスを抑制することで、放射線抵抗性をもたらしていることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

NEAT1による放射線抵抗性と酸化ストレスの関係を明らかにしたため。

今後の研究の推進方策

これまでの研究代表者の研究により、NEAT1はオートファジーを誘導して放射線抵抗性を肝細胞がん細胞に付与していることが明らかになっている。また、ミトコンドリア選択的なオートファジーであるマイトファジーは、放射線によって障害を受けたミトコンドリアを除去することで放射線抵抗性に貢献することが示唆されている。そこで今後は、放射線照射によるマイトファジー誘導と、NEAT1がマイトファジーに与える影響について検討を行う。さらにこの経路にGABARAPやSOD2が関与しているのかについても検討する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナの流行により、学会への出張ができなかったため。次年度は学会参加を積極的にする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] NEAT1 Confers Radioresistance to Hepatocellular Carcinoma Cells by Inducing Autophagy through GABARAP.2022

    • 著者名/発表者名
      Sakaguchi H, Tsuchiya H, Kitagawa Y, Tanino T, Yoshida K, Uchida N, Shiota G.
    • 雑誌名

      Int J Mol Sci.

      巻: 23 ページ: -

    • DOI

      10.3390/ijms23020711.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 肝細胞癌におけるlncRNA NEAT1による放射線抵抗性の誘導メカニズム2021

    • 著者名/発表者名
      坂口弘美、土谷博之、北川寛、谷野朋彦、内田伸恵、吉田賢史、汐田剛史
    • 学会等名
      日本放射線腫瘍学会

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公開日: 2022-12-28  

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