研究課題/領域番号 |
19K17460
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
坂口 弘美 鳥取大学, 医学部附属病院, 医員 (00772287)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 長鎖非コードRNA / NEAT1 / 肝細胞がん / マイトファジー / Parkin |
研究実績の概要 |
NEAT1を過剰発現する肝細胞がん細胞株では、コントロール細胞と比べてオートファジー誘導因子であるGABARAPとともに、ミトコンドリア特異的抗酸化酵素であるSOD2が発現上昇していた。このことと一致して放射線を照射によってミトコンドリアから発生するスーパーオキシドアニオンが、NEAT1過剰発現細胞では減少していた。そこでマイトファジーを検出する蛍光試薬を使って検討を行った結果、放射線照射はマイトファジーを抑制するが、NEAT1過剰発現によりこの抑制が解消されていることが示唆された。マイトファジーを誘導するメカニズムとしてPINK1/Parkin経路が知られている。この経路では、損傷ミトコンドリアに結合したPINK1がParkinを呼び込み、Parkinによってミトコンドリアタンパク質がユビキチン化されることでマイトファジーが誘導される。そこで放射線照射した肝細胞癌細胞株より細胞画分とミトコンドリア画分を調製し、それぞれのPINK1とParkinの発現量を検討した。その結果、NEAT1の過剰発現によってParkin発現量が上昇しており、これに伴ってミトコンドリアに存在するParkinの量も上昇していることが明らかになった。またParkin発現量は、SOD2のノックダウンにより減少し、GABARAPのノックダウンにより上昇した。このことから、NEAT1はSOD2を介してParkin発現を誘導し、GABARAPを介したマイトファジーによりParkinの分解を促進していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NEAT1によるマイトファジー誘導メカニズムを明らかにしたため
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究代表者の研究から、NEAT1はマイトファジーを誘導して放射線抵抗性を肝細胞癌に付与していることが明らかになった。また研究代表者はNEAT1が肝細胞癌の癌幹細胞性誘導に寄与していることを明らかにしている。癌幹細胞は、治療抵抗性など悪性形質の誘導に関与することが示唆されている。そこでNEAT1が肝細胞癌の放射線抵抗性だけでなく、薬剤抵抗性にも関与しているのか検討を行う。さらにSOD2は癌細胞の薬剤感受性に関与していることが報告されていることから、NEAT1によるSOD2を介した薬剤抵抗性誘導経路の存在について検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会参加が少なかったため、今年度は積極的に参加する
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