研究課題/領域番号 |
19K17463
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
佐伯 一成 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (60634756)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 肝細胞癌 / リキッドバイオプシー / 腫瘍マーカー |
研究実績の概要 |
肝癌の診療体系の確立のため,早期診断と治療効果判定に使用できるマーカーについて研究している. ①肝癌診断についてメチル化SEPT9(mSEPT9)をリキッドバイオプシー候補として検討した.肝癌を含む慢性肝疾患の患者181例およびコントロールとして80例の計261例を対象とした.保存血清からDNAを抽出し,デジタルPCRにてmSEPT9コピー数を算出した.正常肝/慢性肝疾患/肝発癌となるにつれてmSEPT9中央値は0.0/2.0/6.4と有意に上昇した.さらに,肝癌の診断におけるmSEPT9コピー数のCutoff値をROC解析にて4.6と設定し,Stage の進展に伴い41.7/58.0/61.3/75.6/100%と陽性率が上昇することを確認した.さらに,既存の腫瘍マーカーであるAFPと組み合わせると, AFP・mSEPT9のいずれかが陽性となる症例は約74.3%であり,AFPが陰性で,mSEPT9のみ陽性である症例は36.9%であった. mSEPT9コピー数をスクリーニング検査で用いることで肝癌の早期に発見できる可能性があることを報告した.(Hepatol Commun. 2020) ②肝癌の治療効果マーカーについて, Lenvatinibの投与を行った進行肝癌70例と対象とし,治療導入前と1ヶ月後の腫瘍マーカーに注目して画像奏効に寄与する因子を検討した.奏効に対するAFP減少率のcutoff値をROC解析から40%減(AFP response)と設定した.OR寄与因子を多変量解析にて検討しAFPが高い症例では有用なOR予測因子となることを見出した.一方,AFPが低い症例ではAFPの減少率は予測因子とはならず肝予備能が良好であることがORに寄与することを報告した.(Cancers. 2020)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記に記載したごとく、早期診断マーカーにmSEPT9、治療効果マーカーにAFP減少率が有効であることを報告した.早期診断に既存の腫瘍マーカーであるAFPにmSEPT9を組み合わせることにより診断能が上昇することを報告しており(Hepatol Commun. 2020),現在は,治療効果マーカーとしてのmSEPT9のコピー数の変化について検討中である.進行肝癌に対する分子標的治療薬(Sorafenib・Lenvatinib)症例において,導入時および導入後1W・2W・1Mでの血清中のmSEPT9のコピー数を測定しその変化と治療効果について検討中である. 1Wおよび2WでのmSEPT9の推移は安定しておらず,1M後の血清を用いての Preliminaryな解析では1M後のmSEPT9のコピー数は導入前と大きく変化する症例があることを確認している.
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今後の研究の推進方策 |
進行肝癌に対する分子標的治療薬(Sorafenib・Lenvatinib)症例において,導入時および導入後1Mでの血清中のmSEPT9のコピー数を測定する.現在、Lenvatinib 19例、Sorafenib 9を集積しており、引き続き症例を集めていく。これらの症例の治療効果と予後を評価する。30例を目処に集積し、導入時のmSEPT9コピー数と治療効果・予後の相関,およびその変化と治療効果について症例を蓄積して検討していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果を論文投稿しておりそのpublish費用としていたが間に合わず、2020年度にpublish予定となった。Publish時に当該研究費を使用する
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