研究課題
肝癌の診療体系の確立のため,早期診断と治療効果判定に使用できるマーカーについて研究している.2019年度に肝癌診断についてメチル化SEPT9(mSEPT9)をリキッドバイオプシー候補として検討し, mSEPT9コピー数をスクリーニング検査で用いることで肝癌の早期に発見できる可能性があることを報告した(Hepatol Commun. 2020).また、肝癌の治療効果マーカーについて, Lenvatinibの奏効を早期に評価するためAFP減少率40%減が重要であることを報告した(Cancers. 2020).2020年度に進行肝癌治療薬のレンバチニブの予後因子として肝予備能(mALBI grade 1-2a)及びBCLC AorBに加えて,握力が予後因子であること.さらに,骨格筋量を加味したサルコペニアも独立した予後因子であることを報告した(Applied Sciences 2020).この結果を受けて、2021年度は多数の症例で同じく肝癌治療薬であるソラフェニブにおいて骨格筋量が予後不良因子であり、特にソラフェニブ不応後の予後因子(進行後生存期間)であることを明らかにした(Cancers. 2021)。また、ソラフェニブおよびレンバチニブ治療を受けた患者を対象としてmSEPT9を測定したところ、予後予測因子としてmSEPT9がAFPやPSとは独立した因子として抽出された。また、mSEPT9により治療の無増悪生存期間も層別化され、治療効果予測も可能な因子と考えられた。これらの結果は、進行肝癌における治療における予後不良患者の抽出に有用であり、治療選択に使用できる可能性を示唆している。
3: やや遅れている
上記のごとく,進行肝癌治療において体組成やmSEPT9が予後因子である結果を得ている.現在は,予後予測マーカーとしてのmSEPT9とAFPの組み合わせについて検討の結果をまとめているが、コロナ禍の影響のためメチル化測定キットの納入遅滞を含め検討が遅れている.現在の結果をまとめて今後論文投稿予定である。
進行肝癌に対する分子標的治療薬(Sorafenib・Lenvatinib)症例におけるmSEPT9の測定を行っている.予後予測因子としてのバイオマーカーとなる知見は得られており論文作成について準備している. また,治療効果とmSEPT9の推移も相関があることを想定しており, 引き続き症例を蓄積して検討していく.
進行肝癌治療において体組成やmSEPT9が予後因子である結果を得ており,予後予測マーカーとしてのmSEPT9とAFPの組み合わせについて検討の結果をまとめている。しかしながら、コロナ禍の影響のためメチル化測定キットの納入遅滞を含め検討が遅れている.追加検討および論文投稿のため1年延長しており、次年度への繰り越し予算として検討を遂行する。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
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