研究課題/領域番号 |
19K17464
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
武原 正典 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 徳島大学専門研究員 (60836675)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 膵臓癌 / 癌微小環境 / 脂肪細胞 / 転移・浸潤 / EMT / SAA1 |
研究成果の概要 |
膵癌は悪性度の高い癌であり、発見された段階で周囲の主要血管への浸潤や遠隔転移をきたして手術不可能なことが多い。膵癌の特徴として癌組織内の豊富な間質が挙げられるが、その間質の作用や由来は明らかではない。本研究によって、膵癌が膵周囲の脂肪細胞を線維芽細胞様の癌関連脂肪細胞に脱分化させるとともに、癌関連脂肪細胞が膵癌のSAA1の発現を上昇させ、EMTを誘導し、遊走能・浸潤能の亢進、化学療法に対する薬剤耐性を誘導していると思われた。また、ヒト膵癌手術検体を用いた検討からは、SAA1の発現の有無は手術後の全生存期間と負の相関を認め、多変量解析においても独立した予後因子であった。
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自由記述の分野 |
膵癌
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本人における膵癌の死亡者数は男性で5位、女性で3位と罹患数に比べても多いのが特徴である。膵癌は発見時点で主要血管への浸潤や遠隔転移をきたし、手術不能なことが多い。膵癌の予後改善のためには早期発見、および膵癌に対する効果的な薬剤発見が必要であると考えられる。本研究では、脂肪細胞が膵癌組織内に含まれる豊富な間質の由来になっており、膵癌細胞と脂肪細胞との相互作用から膵癌細胞のSAA1発現が亢進し、転移・浸潤能の亢進、抗癌剤耐性化、EMT促進が起きていることを見いだした。今後、SAA1やそのpathwayを阻害することによって膵癌の治療、予後延長が可能となる可能性がある。
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