研究課題/領域番号 |
19K17473
|
研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
才川 宗一郎 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (10790347)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 肝内胆管癌 |
研究実績の概要 |
2019年度はNOTCH1選択的阻害剤(NOTCH1-i)とアンギオテンシンII阻害剤(ARB)による新規肝内胆管癌治療の開発に関して基礎的検討を行った。In vitroの検討において、ヒト肝内胆管癌株(HuCCT-1、KKU-M213)にNOTCH1-i(Interprotein社開発、申請者らと共同研究)およびARB(ロサルタン)両薬剤を添加したところ、両薬剤ともに単剤で細胞増殖を用量依存的に抑制し、TUNEL陽性のアポトーシスを誘導した。さらに、ERK、AKTのリン酸化およびCleaved Caspase-3の発現を有意に抑制していた。また、NOTCH1-iの添加により、その下流にあるHey/HesやSox9の発現の低下が確認できた。さらに両薬剤を併用したところ、各単剤に比較し増殖抑制・アポトーシス誘導効果が増強された。 次に、上述の2種類の肝内胆管癌株を用いてxenograftモデルを作成し、NOTCH1-i、ARBによる肝内胆管癌に対する抗腫瘍効果とNOTCH-Hippo/YAP経路の関与を検証した。各単剤投与群において、対照群に比較して腫瘍発育が有意に抑制された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は基礎検討を中心に行う予定としており、仮説を証明し得る結果が得られている。一方で、xenograftモデルの検討においては、サンプルを採取した段階であり、腫瘍組織を用いた詳細な検討はまだ行われていない。
|
今後の研究の推進方策 |
まず、基礎検討においてxenograftモデルにおける皮下腫瘍のサンプルを用いて、病理学的、分子生物学的検討を加えることで両薬剤の効果について解析を進めていく。さらに、マウス研究において、各群の皮下腫瘍サンプルを用いてtranscriptome解析を行い、治療前後で変化する遺伝子群の中でNOTCH1経路、Hippo/YAP経路に関連する遺伝子を探索、同定する。また、化学療法前の肝内胆管癌患者の腫瘍生検サンプルを用いて、同定したマーカーが治療効果予測に有用であるかを治療効果、予後と比較することにより臨床的にretrospective に検証する。材料としては基礎的研究で用いた各群の皮下腫瘍組織を用いる。臨床検体での検証には肝内胆管癌患者の腫瘍生検凍結、病理検体を保存しているためそれを使用する。必要あれば引き続き検体採取を行い、同時並行で臨床データ収集を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に計画していた研究の一部(皮下腫瘍サンプルを用いた解析)が滞っており、次年度に行うことになったため。
|