潰瘍性大腸炎は原因不明の炎症と難治性の潰瘍を起こす難病である。治療には炎症を制御する薬剤が用いられ、そのうちJAK阻害薬は、炎症を引き起こす複雑なサイトカイン・ネットワークを構成するJAK経路を特異的に阻害する。本研究はJAK阻害薬が効果を発揮するために、腸管における多彩な粘膜構成細胞の如何なる細胞を標的とし、如何なる分子機序を介して効果を発揮するのか、そしてその効果の有無が規定される条件を、臨床情報の解析と、患者由来の組織検体を用いた最新のシングルセル解析を行なって解明を試みた。治療有効性を規定する因子の同定にはさらなる解析が必要であったが、臨床情報から治療効果予測に有用な因子が同定された。
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