研究課題
①潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis: UC)患者の血清IgGを抽出し、これに特異的に反応する大腸腸管上皮と細胞外マトリックスを構成するタンパク質を網羅的に探索した結果、インテグリンαVβ6(以下V6)であることを同定した。またIgGサブクラス解析の結果、V6抗体の主体はIgG1であった。②UC患者および健常者の大腸組織におけるV6発現を検証した結果、大腸上皮に発現が強く、UC患者で有意に発現が上昇していた。③UCに対するV6抗体の診断感度および特異度は、それぞれ92%および94.8%と極めて良好な診断能を有していた。④V6抗体価は、疾患活動性の指標であるMayo scoreと統計学的に有意な相関を呈していた。⑤Solid phase binding assayによって、V6抗体は、V6とその主たるリガンドであるフィブロネクチンの結合を有意に阻害し、その阻害効果は用量依存的かつ抗体価と有意に相関していた。以上より、V6抗体はUCの有用な診断および疾患活動性マーカーとなること、その病態形成に関与することが示唆されたため、その結果を論文報告した(Identification of an anti-integrin αVβ6 autoantibody in patients with ulcerative colitis: Gastroenterology. 2021 Jun; 160(7):2383-2394)。⑥最終年度は、UC発症メカニズム解析のためのモデルマウスの作成を試みているがが、確立には至っていない。リコンビナントV6免疫マウスやV6抗体passive transferモデルにおける条件検討や、さらにはハイブリドーマを用いたモノクローナル抗体を作成し、これによるモデルマウス作成も検討中である。
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Gastroenterology
巻: 160 ページ: 2383~2394.e21
10.1053/j.gastro.2021.02.019