研究課題/領域番号 |
19K17492
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
平山 晴子 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 助教 (40635257)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 消化管 / グレリン / 大腸運動 / 脊髄 |
研究実績の概要 |
グレリンは、脊髄腰仙髄部の排便中枢に作用し、大腸運動を亢進する。しかし、グレリンの大腸運動亢進作用は、主にin vivoの実験系で現象としてとらえられているだけであり、その詳細なメカニズムは不明である。本研究は、脊髄におけるグレリンの大腸運動亢進作用について、脊髄から大腸に至るまでの経路における作用機序の詳細を解明することを目的とする。 本年度は以下の実験に着手した。 (1)グレリンの大腸における作用部位を詳細に特定:麻酔下のラットを用い、グレリンの脊髄への投与前後の大腸運動を測定し、グレリンが大腸のどの部分の運動性を変化させるのか明らかにした。 (2)グレリンの作用発現時における神経の出力を確認:麻酔下ラットの骨盤神経に記録電極を留置し、グレリンの脊髄への投与時の、神経の複合活動電位の変化について記録を試みた。しかし神経活動の測定・記録手技が安定せず、グレリン投与時の活動電位変化記録に至ることができなかった。 (3)脊髄神経細胞における作用を解明:グレリン投与時にその作用点である脊髄ニューロンに惹起される変化をパッチクランプ法を用いて明らかにすることを目的とし、本年度は予備実験を行った。新生ラットの腹腔内に神経標識色素を投与し、脊髄に存在する腹腔内臓器支配神経を逆行性に標識することを試みた。スライス標本の作製については技術を会得した。用いる色素の種類や投与量、新生仔の日齢等の詳細な条件を現在検討中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
麻酔下のラットを用いた骨盤神経の活動記録について、手技の確立および安定に時間がかかっており、進捗がやや遅れている。またパッチクランプ法を用いた実験についても、条件検討に時間がかかり、進捗が遅れている状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度到達できなかった、骨盤神経の活動記録について、手技の確立を早急に目指し、グレリン投与時の神経活動の変化記録を試みる。またこれまでの研究で明らかになった、グレリンの作用部位の結果を参考とし、形態学的検索にも着手する予定である。並行して、すでに得られている結果の学会発表および論文投稿を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定していた実験が予定より進まなかったため、残額が生じた。次年度に実施をするため、当該の費用として支出予定である。また、初年度配分額が、計画していたPowerLab関連機器の購入価格に届かなかったため、規格を変更し購入したため、残額が生じた。次年度に追加でPowerLab関連機器を購入予定であり、それにより実験の効率化を図りたいと考えている。
|