研究実績の概要 |
post-colonoscopy colorectal cancer (PCCRC)は大腸癌治療後のサーベンランス大腸内視鏡検査間に発見される癌で, ”見落とし癌”に加えて, “急速進行癌”も含まれるが,その鑑別は内視鏡的に困難なことが多い。本研究では,PCCRCの臨床病理学的および遺伝学的特徴を解析し,PCCRCの頻度は, 全大腸癌中1.9%(34/1765)で, Tis癌2.2%(18/821), T1癌2.1%(8/377)、T2以深癌1.4%(8/567)であった。PCCRC34例の平均年齢は71±10歳, 男性27例(79%), 局在は近位結腸 17例(50%), 遠位結腸 13例(38%), 直腸 4例(12%), 肉眼型は表面型17例(61%), 隆起型11例(39%), 2型/3型 6例(18%), 前回の大腸内視鏡検査からPCCRC発見までの平均期間は25±15ヶ月であった。主組織型はTub1 26例(76%), Tub2 5例(15%), Pap 1例(3%), Por/Muc 2例(6%)であった。MMR免疫染色を33例に施行し, 7例(21%)でMMR欠損(dMMR)を呈し,4例はT2以深癌,5例は近位結腸癌であり、全ての早期癌は, 前回大腸内視鏡検査後24か月以内に検出された。癌関連遺伝子のシークエンスを23例に行い, APC, KRAS, TP53に変異を多く認め、T2以深癌は6例中PIK3CA変異を5例(83%)に認め, TCGCのT2以深癌での変異率(27.1%)と比べて明らかに高かった。 またdMMRかつBRAF V600E変異を示した2例は原癌死例であった。この結果から、見逃し癌と考えられたTis/T1癌のうち表在型早期癌を約半数に認めた。急速に進行したと考えられたT2以深癌は約2割で, 近位結腸癌のdMMRやPIK3CA変異を示す特徴を認め,特に近位結腸癌のBRAF V600E変異を示すdMMR例は予後不良であった。
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