研究課題/領域番号 |
19K17497
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
福島 真典 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (80835596)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | パルミチン酸 / リポポリサッカライド / exosome / セラミド |
研究実績の概要 |
脂肪毒性の主要な原因となる飽和脂肪酸(パルミチン酸)と腸内細菌叢がもたらすリポポリサッカライド(LPS)が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の病態にどのように関与するかを肝細胞が分泌するexosomeの観点より研究をしている。パルミチン酸刺激により、肝細胞中のセラミド合成が増加すること、また肝細胞が分泌するexosomeが増加し、そのexosome中にはセラミドを豊富に含まれていることは以前の研究でかくにんされており、これにLPSの添加によるexosome分泌のさらなる増加、exosome中のセラミド量の変化を検証することを目的としている。仮説としてはLPSが脂肪酸からセラミドを合成するために必要な変換酵素であるSPTをTLR4を介して増加させると考えており、in vitroの実験として肝細胞株を用いて、パルミチン酸刺激した細胞、LPS刺激を加えた細胞、両方刺激を加えた細胞を用意し、様々な条件下でTLR4,SPTの変化を検証している。今年度も引き続き、さまざまな条件設定を行いTLR4、SPTのmRNAの変化を検証したところ、パルミチン酸、LPSの作用により肝細胞中のTLR4の発現が増加することを確認している。パルミチン酸にLPSを添加することによる、上乗せの相乗効果としては、予想より乏しかったため、SPTのサブクラスであるSPTLC1,2,3に関して、各々の発現状況の検証を追加して行った。今後はTLR4やSPTの発現状況による肝細胞から分泌されたexosomeの分泌量の変化、性質の差異を検証していく計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パルミチン酸・LPSがTRL4やSPTの発現に影響を及ぼす濃度・作用時間の条件設定に時間を要した。またSPTのサブクラスであるSPTLC1,2,3に関しての検証を追加して行う必要があった。
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今後の研究の推進方策 |
設定条件下のもと、exosomeの抽出、解析に着手していく予定である。また条件設定に基づきマウスを用いたin vivoの実験も並行して進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画がやや遅れており、費用の掛かる予定であるexosomeの解析・セラミド解析費用が掛からなかったため当初より使用額が少なくなっている。翌年度には本年度で行えなかったexosome関連の解析とマウスに実験に関わる費用に使用する。
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