研究実績の概要 |
CD4 regulatory T cells(Treg) は免疫寛容を司る抑制性のCD4 T cellの一群であり,がん免疫においては抗腫瘍免疫を抑制し腫瘍の増殖を促すと考えられている.CD4Tregには異なる機能を有するいくつかのサブセットが存在すると考えられており, その究明は腫瘍免疫の分野では非常に重要である.申請者はこれまで転写因子であるHeliosの発現がCD4Tregの抑制能や活性化に関連するマーカーであることを報告するなど, CD4Tregのサブセット解析に尽力してきた(Davids MS, Hirakawa M et al. N Engl J Med 2016)(Hirakawa M et al. JCI insight 2016).近年, B細胞応答を司る新たなCD4 T cellのサブセットとして, 濾胞ヘルパーT細胞(TFH)が, 更にはB細胞応答を制御性に調節するCD4Tregのサブセットとして濾胞制御性T細胞(TFR)の存在が提唱され注目を集めているが, 腫瘍免疫の分野におけるTFH, TFRに関する研究は十分とはいえない. 本研究では上述のCD4Tregに関する知見を大腸癌に応用し,新規予後予測因子としてや新規治療ターゲットとしての臨床応用への基盤となる研究を行うこととした. 昨年度の研究結果より, 大腸癌患者においては末梢血中および腫瘍浸潤リンパ球におけるTFHの発現は, 健常者と比べ低い傾向を認めた. また腫瘍組織, 末梢血におけるTFH, TFRの発現に応じて, 大腸がん患者を4群(Group1: THF high, TFR low, Group2: TFH low, TFR high, Group3: TFH high, TFR high, Group4: TFH low, TFR low) に分け予後との関連性につき検討も行った.
|