慢性偽性腸閉塞症(CIPO)は小腸蠕動障害を主病態とする重篤な難治性希少疾患であり、 疾患認知度が低いために、不適切な診断や治療を長年余儀なくされている症例も少なくない。我々は腸管蠕動を動画で評価可能なシネMRIによる診断法を確立した。シネMRIは画期的なモダリティであるが、①解析に時間を要する②解析者が選定した腸管の解析に限定される③解析部位の選定に解析者によるバイアスが生じる、といった問題点も存在している。これらの問題点を解決し、従来のシネMRIよりも「詳細」かつ「客観的」に「色の違い」として一枚の画像で蠕動の強弱を判別できる画像を本研究では目標とする。 厚生労働省の診断基準によりCIPOと診断された症例のうち、当院でシネMRIを施行、フォローアップを継続している症例合計5例を対象とし、試作ソフトによりカラーマップ画像を作成、定量的評価が可能かどうかについて検討を行った。本プログラムを用いて、シネMRIで得られたDICOM画像から関心領域(ROI)を抽出、腸管長軸にそった中心線を設定、その後、中心線に直行する短軸を無数に設定し、それぞれの短軸の収縮率を計算した。収縮率の大小により短軸線を色分けしてカラーマップ画像を作成した。いずれの症例でも良好なカラーマップ表示が得られ、シネMRIにより算出される平均腸管系および平均収縮率に有意差は認められなかった。カラーマップMRIはシネMRIと遜色ない定量的評価が可能であった。有効な設定条件を選択できたと考えられる。今後は本プログラムをもとにさらに実臨床における活用を目指していきたい。収縮周期の評価は課題として残っており、今後検討をすすめていきたい。
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