慢性膵炎は飲酒過剰を背景に発症する膵臓の慢性炎症性疾患であり、膵内・外分泌機能が障害される結果、糖尿病や難治性の疼痛・下痢などが出現する。また、慢性膵炎は膵癌発症の最大の危険因子である。しかしながら、慢性膵炎の病態生理は十分に解明されておらず、病態生理に基づいた根治療法は開発されていない。本研究において、腸内細菌叢解析の結果、Akkermansia muciniphilaが慢性膵炎の発症抑制に機能する腸内細菌であることが示唆された。本菌は肥満や脂肪肝などを抑制することが報告されているが、慢性膵炎や予後不良な膵癌の発症予防にも有効である可能性があり、新たな治療法の開発につながる可能性がある。
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