研究課題
本研究課題はがん関連遺伝子の活性型変異を標的とした化合物複合体(ピロールイミダゾール含有ポリアミドにビオチンを付加修飾した複合体:PIP-biotin)を用いて、がん患者を対象に、その血液サンプルに含まれる無細胞遊離DNA(cfDNA)から腫瘍由来の標的がん遺伝子の変異部位を含むDNA断片(ctDNA)を特異的に超濃縮することで高感度遺伝子診断法の確立を目指すものである。当該年度は実施した結果の解析および論文化に注力した。これまでに、本診断法において大腸がん患者(17例)の保存血清中のcfDNAを対象に、PIP-biotinによるKRASの遺伝子型の判定を試みている。ddPCRによる変異アレルの検出感度は、StageⅣの症例では濃縮前75%(6/8)、濃縮後100%(8/8)と同等であった。一方、StageI~IIIの症例では濃縮前の検出感度11.1%(1/9)であったのに対して、濃縮後では88.9%(8/9)と、有意に検出感度が向上した(p<0.01)。これらの結果から、PIP-biotinを用い標的遺伝子を濃縮することで、血液中KRAS変異アレルの検出感度が向上することが確認された。特にcfDNA量の少ないStageI~IIIの症例で有効であったことから、早期診断や再発のモニター等に応用できる可能がある。今後、膵臓がん患者の保存血清を用いた検討を行い、本診断法の汎用性を検証する予定である。
3: やや遅れている
論文投稿に伴う追加実験に注力したため、他のがん種等の解析にやや遅れが出ている。
膵臓がん患者の保存血液サンプルを用いた検討を行い、本診断法の汎用性を検証する予定である。さらに、新たにがん患者から血液サンプルを採取する前向き試験を計画し、本診断法の有用性を検証したい。
当該年度はこれまでの研究内容の解析と論文投稿に注力し、使用額が見込みより減少した。次年度は、臨床サンプルを用いた検討を予定しているため、使用額の増加が見込まれる。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件)
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