本研究では予後が悪く、治療法が存在しないLMNA変異拡張型心筋症の病態を解明するため、該当する患者さんからiPS細胞を作成し、心筋細胞に分化させて様々な解析を行った。その結果、LMNA変異心筋細胞ではDNA損傷応答が亢進していること、電気的活動の異常などの表現型異常が見られることが分かった。さらに、これらの細胞を用いて網羅的遺伝子発現解析を行ったところ、筋収縮線維の発現低下を認め、心筋成熟化障害が示唆された。さらに遺伝子発現の調節システムであるエピゲノムの解析を行ったところ、LMNA変異心筋では転写因子TEAD1の標的分子群の発現が低下していることが示唆された。
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