研究課題
(課題1)心臓リンパ管の生理学的状況下および心不全発症過程での役割の解明生理学的条件下の心臓におけるリンパ管の機能解析に取り組んだ。野生型マウス(雄; 10~12週齢)を麻酔下に開胸して、心尖部にエバンスブルーを注入して左室心筋より同色素がドレナージされる過程で、リンパ管の走行を検出・同定し心臓から集約される集合リンパ管を結紮することにより心臓のリンパ管系システム機能不全を誘導した。心臓リンパ管系機能不全に陥った際の心臓構造および機能における変化(結紮前、結紮後7日目、14日目、28日目、56日目)を経時的に観察し、線維化評価(Masson Trichrome染色)を行った。また、その際の心臓リンパ管の形態的・数的変化を評価する目的で免疫染色(LYVE1およびPodoplaninでリンパ管を同定)をそれぞれ施行した。心臓リンパ管機能不全は、左室心外膜側のリンパ管の拡張変化を伴い、また、一部は繊維化形成所見が認められた。本年度はさらに、個体数を増やして、上記検証に取り組んだ。(課題2)虚血耐性現象により誘導されるリンパ管再構築の検討マウスLangendorff灌流モデルを用いてEx vivoでの検証を行った。 Ischemic preconditioning (IPC)作成protocolは、既存の報告にしたがって、5分間の灌流停止と5分間の再灌流を3回繰り返し行う。引き続いて45分の灌流停止と15分の再灌流を行い、虚血再灌流(I/R)モデルの作成に取り掛かった。現在引き続き安定した同モデル確立を目指している段階である。
2: おおむね順調に進展している
コロナ禍にあり、動物実験や研究試薬供給遅延の問題から課題遂行には困難な状況ではあったが、一定の成果を得ることはできた。
心臓リンパ管の生理学的状況下および心不全発症過程での役割の解明については、病態モデル下での研究を進めていく予定である。また、リンパ管誘導する分子機序の詳細な検討も心筋細胞、リンパ管内皮細胞、マクロファージなどを用いたin vitroでの実験も進めていく予定である。
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