研究実績の概要 |
本研究はプラークびらんによる急性冠動脈症候群発症の機序解明を目的とする。令和3年度は、昨年度に引き続き数値流体力学(生体力学的ストレス)解析を継続している。安定した冠動脈モデルの構築のためにアルゴリズムの改訂などを行っている。 プラークびらんによる急性冠動脈症候群の一部は、近年認知されてきた非閉塞性冠動脈疾患(INOCA)との関連も指摘されているため、上記の数値流体力学解析に加え、並行して微小血管抵抗や冠血流量などの血行力学データからのアプローチも必要であると考えられた。今年度は自施設にて単施設レジストリーを立ち上げ,急性冠動脈症候群を含む、虚血性心疾患患者での血行力学データ収集を行っている。微小血管抵抗の測定に関しては、現行の機器では測定誤差が大きいことや、プロトコルが定まっていないことが問題点としてあげれられている。冠攣縮誘発試験や、生理学的虚血評価といった他の侵襲的な冠動脈検査と連続して安全に施行し、安定した測定値を得るために、手技のプロトコルを整備なども行っている。
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