昨年度から引き続きデータベースの構築を行い、今年度の実績としては全例で患者背景因子、周術期情報、退院後予後を収集することが完了した。今年度は、最新の論文を踏まえた上で、CT解析を進めていく方針である。研究計画は以下のとおりである。 大動脈弁狭窄症における重症の基準としては、心臓超音波検査における、①大動脈弁最大通過血流速度≧4m/s、②大動脈弁平均圧較差≧40mmHg、③大動脈弁弁口面積≦1cm2のうち、いずれかを満たすことであるが、実臨床では③のみを満たし、最大通過血流速度、圧較差については中等症ASに分類されるLow gradient severe ASがしばしば見受けられ、重症度について迷うケースが存在する。この際には、弁変性の定量評価がキーとなると考えられる。本研究では、TAVI術前のCTにおける石灰化病変の定量評価と、心臓超音波検査におけるAS重症度の関連性を評価し、予後に影響を与える因子について検討する。また、周術期のカルテより弁輪部破裂、冠動脈閉塞、脳梗塞、ペースメーカ留置症例、弁周囲逆流を抽出し、大動脈弁尖やその周囲構造の石灰化と合併症の関連性について調査を行い、リスク因子の検討を行う。患者背景因子、術前心エコー情報、心電図情報、周術期合併症(弁輪部破裂、冠動脈閉塞、症候性脳梗塞、大動脈解離、完全房室ブロック)の有無について収集する。
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