本研究はクライオカテーテルを用いて洞結節、房室結節の可逆的な機能停止が可能かを検証することを目的とする研究である。クライオカテーテルを用いて行う クライオマッピングは、カテーテル先端の心筋組織を-30°Cで冷却し可逆的な伝導性の消失を生じさせる手法である。この方法の大きなメリットは、冷却を中止 し復温することで機能回復が認められる事である。まず、動物実験により、クライオカテーテルによる洞結節、房室結節の可逆性変化、不可逆性変化を起こしう る冷却温度、冷却時間を検証する。次にヒトにおいて房室結節の焼灼が必要となる症例において、クライオマッピングで可逆性変化を起こしうるかを検証する。 さらに洞結節近傍の心房頻拍、もしくは不適切洞頻脈が疑われる症例で、最早期部位にクライオマッピングを行い洞不全症候群の合併症が回避しうるかを検証す る。 ブタを用いた動物実験により、心筋組織の冷却温度の検討と実際に冷却を行った心筋組織の病理学的検討を行った。その冷却効果と病理学的な変化に関し て現在解析中である。その結果を用いて、ヒトに対するクライオマッピングでの冷却で不可逆性が再現しうるかを確認する。 また、クライオマッピングの動物実験で得られた知見を元に、クライオマッピングを用いた房室結節回帰性頻拍のアブレーション治療の新たな方法論を提案する。
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