研究課題
照射群のウサギについては神戸大学動物実験施設から兵庫県立粒子線医療センターに搬送し、ウサギの心臓に粒子線照射(炭素線n=16 [25Gy照射 n=8, 35Gy照射 n=8], 陽子線 n=16 [25Gy照射 n=8, 35Gy照射 n=8])を行って、その後神戸大学に搬入し経過観察を行った。照射群のウサギは1か月、3カ月後に心電図、心エコー図検査を行い3-6カ月後に全身麻酔下での開胸下で電気生理検査を行った。開胸し心臓を露出させ拍動下で伝導時間や電位波高などを測定しコントロール群との比較を行った。その後安楽死させて、心臓の組織学的変化を検討した。照射群においては、まず皮膚(前胸部)に照射による皮膚変化を認め、心エコー図検査では1-3カ月後に心嚢水貯留などの所見を認め、体表心電図では電位の低下を認めた。開胸下での電気生理検査では照射群において心室の局所伝導時間の延長、心室の局所電位波高低下などを認め粒子線照射による影響と考えられた。また組織学的評価では照射群は線維化の進行、コネキシン43発現の低下などを認め、心筋のアポトーシスの所見も認めた。更に周辺臓器(心臓冠動脈、肺、食道)などへの影響も検証し、肺野の一部に放射性肺炎の所見を認めた。これらの知見は、難治性の心室性不整脈の基質部位に粒子線を照射する事によりその異常心筋を消失できる可能性を示唆している。上記結果は、Journal of the American Heart Associationの2021年4月号に掲載された。
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Journal of the American Heart Association
巻: 10 ページ: e019687
10.1161/JAHA.120.019687