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2020 年度 実施状況報告書

心不全治療を最適化するAI型診療支援システムの基盤研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K17529
研究機関九州大学

研究代表者

遠山 岳詩  九州大学, 大学病院, 医員 (00828197)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード診療支援システム / 心不全治療 / 人工知能
研究実績の概要

本研究では、人工知能(AI)の技術を用いて、心不全専門医レベルでの患者の状態を把握し、最適な治療を提案する「診療支援システム」を構築していくことを最終目標としている。心不全診療においてはさまざまな要因がその診療方針の決定に影響するため、全てを網羅するAIではなく、心不全臨床における各個別の問題を解決していくAIの作成が現実的であると考えられる。
初年度は、心不全診療支援システムにおけるプロトタイプとして、循環器診療における主要な治療薬の一つである抗凝固薬の処方調整の提案を行うAIの作成しており、複数の機械学習アルゴリズム(ランダムフォレスト、ニューラルネットワーク等)を用いて、処方提案のAI の予測精度を検証した。AIによる処方調整の予測精度は曲線下面積area under the curve (AUC) =0.79 - 0.80であった。本研究は、2020年7月に日本循環器学会総会にて結果を報告した。
また、心不全の大規模データベースを元に、心不全患者の予後予測AIモデルを作成した。このAIモデルは心不全患者の予後を、DPCの構造化されたデータから予測するというものである。DPCデータを基にAIを構築したことで、詳細な心不全の臨床情報は制限されるものの、構造化データとして大量のデータを活用することが可能となった。また本研究に使用したデータは、通常診療で取得される項目であることから、臨床に組み込むAIとしての親和性があると考えられる。心不全患者の予後予測精度としては、AUCは0.78であり、MAGGICやSHFMなどの詳細な臨床情報を必要とする従来の心不全リスクモデル以上の予測精度であった。当該研究の結果については、2020年8月にEuropean Society of Cardiology にて発表を行なっており、現在、論文執筆中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在、心不全臨床の各個別の問題を解決していくAIの作成を進めている。初年度は、プロトタイプとして抗凝固薬の処方提案をテーマとして研究を行い、令和2年度においては、DPCデータを元に心不全の予後を予測するAIの検討を行なった。

今後の研究の推進方策

心不全の予後予測AIはDPCを活用したものであったが、今後はDPCデータに加え、病院のHISデータに含まれる構造化されたデータを再活用することで、心不全の状態を評価および治療経過の予測を行う様なAIの開発をすすめ、診療に活用可能なAIの構築を検討していく。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの影響もあり、海外学会がリモートになったり、研究補助として雇えなかったことで、旅費、人件費が0円となっている。一方で、リモートワーク可能な設備として物品費が増額されている。
次年度においては、新型コロナウイルスが収束の状況にもよるが、研究を推進するために研究補助要員の採用など人件費等に回すことを検討している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [学会発表] Artificial intelligence-based analysis of payment system data can predict one-year mortality of hospitalized patients with heart failure2020

    • 著者名/発表者名
      T Tohyama, K Funakoshi, H Kaku, N Enzan, M Ikeda, S Matsushima, T Ide, K Todaka, H Tsutsui JROADHF investigators
    • 学会等名
      European Society of Cardiology
    • 国際学会
  • [学会・シンポジウム開催] European Society of Cardiology2020

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公開日: 2021-12-27  

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