研究課題
本研究では、人工知能(AI)の技術を用いて、心不全専門医レベルでの患者の状態を把握し、最適な治療を提案する「診療支援システム」を構築していくことを最終目標としている。 初年度は、心不全診療支援システムにおけるプロトタイプとして、循環器診療における主要な治療薬の一つである抗凝固薬の処方調整の提案を行うAIの作成しており、複数の機械学習アルゴリズム(ランダムフォレスト、ニューラルネットワーク等)を用いて、処方提案のAI の予測精度を検証した。AIによる処方調整の予測精度は曲線下面積 (AUC) =0.79であった。本研究は、2020年7月に日本循環器学会総会にて結果を報告した。 さらに、心不全の大規模データベース(JROADHF)を元に、心不全患者の予後予測AIモデルを作成した。このAIモデルは心不全患者の重症度・予後を、DPCの構造化されたデータから予測するというものである。DPCデータを基にAIを構築したことで、詳細な心不全の臨床情報は制限されるものの、構造化データとして大量のデータを活用することが可能となった。本研究に使用されたデータは、通常診療で取得される項目であることから、臨床に組み込むAIとしての親和性があると考えられる。心不 全患者の予後予測精度としては、AUCは0.78であり、MAGGICやSHFMなどの詳細な臨床情報を必要とする従来の心不全リスクモデル以上の予測精度であった。当該研究の結果については、2020年8月にEuropean Society of Cardiology にて学会発表を行なっており、2021年7月にESC heart failureにて報告された。本開発モデルは、非医療従事者でも使用可能な簡便なものであり、webアプリとして一般公開している。(https://hfriskcalculator.herokuapp.com/)
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ESC Heart Failure
巻: 8 ページ: 4077~4085
10.1002/ehf2.13556
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