研究課題/領域番号 |
19K17531
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
石井 正将 熊本大学, 病院, 特任助教 (70823293)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | MINOCA / DPCデータ / 循環器疫学 / ビッグデータ / 大気汚染 / 黄砂 / オミックス解析 / 冠微小循環障害 |
研究実績の概要 |
これまでに循環器疾患診療実態調査(JROAD)のDPCデータベースの解析により、MINOCAの臨床的特徴や院内予後不良因子であること、MINOCAの病因によって短期予後が異なることを報告した(Int J Cardiol. 2020;301:108-113.)。また、MINOCAの危険因子として黄砂及びPM2.5による大気汚染などの環境要因が影響していることを報告した(Eur J Epidemiol. 2020;35(5):455-464., Eur J Prev Cardiol. 2021 Oct 25;28(13):1435-1444. )。さらに大気汚染, とくに黄砂の短期曝露によるMINOCA発症の機序の解明として、約30万人の健診データベースを使用し、黄砂の短期曝露と血圧、脈拍への影響を検討し、黄砂曝露による生体への影響として交感神経系の活性を介した血圧・脈拍上昇の可能性が示唆された(Sci Rep. 2020 Oct 19;10(1):17630. )。 第86回日本循環器学会総会にてMINOCAのテーマのシンポジウムにてJROAD-DPCデータベースの解析により得られた上記の日本のMINOCAの疫学(臨床的特徴および短期予後)について発表を行った。またその発表内容を日本語の循環器系雑誌に寄稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍で症例登録が進まなかったが、2021年1月から11月までに急性心筋梗塞,MINOCAおよびINOCAにて熊本大学病院に入院となり、心臓カテーテル検査を行い、アセチルコリン負荷試験および冠微小循環の評価を行った22症例のうち、大動脈および冠静脈洞より血液サンプルを取得できた20症例を後ろ向きに登録し、血液検査サンプルを用いたメタボローム解析を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
上記のメタボローム解析によりMINOCAおよびINOCAにおける冠循環の代謝異常を明らかにする。またこれまでに冠攣縮性狭心症患者において酸化ストレス応答の役割を担っているヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)が冠循環中で産生されている可能性を見出してきたが(ESC 2017発表、第81回日本循環器学会学術集会発表)、同様に、MINOCA、INOCA患者においてもHO-1の産生が亢進しているかを確認するとともに、プロテオーム解析や血液バイオマーカー探索の解析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で症例登録が遅延し、そのため血液サンプルの解析が次年度に繰り越しとなったため。
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