研究実績の概要 |
これまでに本研究ではデータベース研究によるMINOCAの診療実態およびリスク因子を明らかにしてきた。循環器疾患診療実態調査(JROAD)のDPCデータベースの解析により、MINOCAの臨床的特徴や院内予後、そして黄砂及びPM2.5といった環境要因がリスク因子であることを報告した(Int J Cardiol. 2020;301:108-113., Eur J Epidemiol. 2020;35(5):455-464., Eur J Prev Cardiol. 2021 Oct 25;28(13):1435-1444. )。黄砂曝露による生体への影響として交感神経系の活性を介した血圧・脈拍上昇との関連を約30万人の健診データベースより明らかにした(Sci Rep. 2020 Oct 19;10(1):17630. )。これらのMINOCAに関する臨床疫学の内容について[図書]に示す日本語雑誌に掲載した。 さらにMINOCAおよびその原因疾患である冠攣縮性狭心症の冠微小循環環境の病態解明のため、2017年6月から2022年12月までの間に心臓カテーテル検査を行い、アセチルコリン負荷試験および冠微小循環の評価(IMR, CFR)を行った症例のうち、大動脈および冠静脈洞より血液サンプルを取得できた104症例を後ろ向きおよび一部前向きに登録し、血液検査サンプルを用いたメタボローム測定を行い、現在解析中である。またこのメタボローム解析の結果と合わせて、炎症性サイトカインや酸化ストレスとの関連を検討するために引き続きプロテオーム解析の準備を進めている。
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