研究課題
Calreticulin(CALR)変異は2013年に報告された、骨髄増殖性疾患(真性赤血球増多症、本態性血小板血症、骨髄線維症)の2番目に多い遺伝子変異の一つである。骨髄増殖性疾患は肺高血圧症をしばしば合併する。肺高血圧症は骨髄増殖性疾患における予後不良因子の一つであるが、その発症メカニズムについては不明である。今回、CALR変異ノックインマウスを用いて、骨髄由来CALR変異陽性細胞の肺高血圧症における意義を検討した。当施設で有するCRISPR-Cas9法によって作成した2種類のCALR変異ノックインマウスの内、本態性血小板血症と似た病態を呈する10-deletionのCALR変異ノックインマウスを用いた。結果、骨髄由来CALR変異が、肺動脈中膜肥厚を伴って、低酸素誘導性肺高血圧症モデルを悪化させ、エンドセリン1の肺における発現を上昇させた。さらに、低酸素誘導性モデルマウスの肺動脈周囲にはマクロファージが浸潤していたため、マクロファージを用いたin vitroの実験を行った。CALR変異ノックインマウスの骨髄細胞を培養し、CALR変異陽性-骨髄由来マクロファージを作成。そのマクロファージでエンドセリン1の発現やSTAT3のリン酸化が増加していた。以上の結果より、CALR変異陽性骨髄細胞が、マクロファージやエンドセリン1を介したメカニズムによって、肺高血圧症を増悪させることを明らかとした。本研究成果は論文にて報告した。また、循環器疾患患者におけるCALR変異の頻度をリアルタイムPCR法にて調べたが、循環器内科へ通院中の肺高血圧症患者において、CALR変異のアレルバーデンが高値となる患者を認めなかった。
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