本研究の目的は、心血管インターベンションによる放射線被ばくの身体への影響を、DNA損傷およびそれに惹起された炎症性サイトカイン・ケモカイン発現の視点から明らかにすることである。 これまで虚血性心疾患の診断・治療のため冠動脈造影あるいはPCIを受ける患者30例および術者10名より検査前と直後に採血を行い、単核球を分離し、ゲノムDNAの2本鎖切断の指標としてgammaH2AX、異常染色体の指標としてFISHを用い2動原体染色体を定量した。患者においては、gammaH2AX、2動原体染色体いずれも検査後増加しており、その増加度は、Dose Area Productと相関する傾向が認められた。また単核球よりRNAを回収し、定量的RT-PCRにてIL-1beta mRNAの発煙を測定した結果、患者においては術後有意に増加していた。 一方、術者においてはgammaH2AX、2動原体染色体いずれも今のところ明らかな傾向を認めていない。
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