近年の放射線診断技術の進歩にともない医療放射線被ばくの量も増加の一歩をたどっているが、低線量放射線被ばくの生物学的影響については不明の部分が多い。心臓カテーテル検査による放射線被ばくが、患者の末梢血単核球においてDNA損傷を増加させ、さらにNF-kappaBが活性化、炎症性サイトカインが誘導された。術者においてはDNA損傷の増加は認められなかったが、NF-kappaBの活性化とIL-1betaの増加が認められた。医療放射線被ばくの影響を評価する上で、放射線感受性の個人差を反映する生物学的線量測定の有用性が示唆された。患者、術者双方において被ばく線量の低減のためのさらなる努力が必要であろう。
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