研究課題/領域番号 |
19K17535
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
尾崎 雄一 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (00507999)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 薬剤溶出型生体吸収性マグネシウムステント / 血管応答 / 光干渉断層法 / 炎症性細胞 |
研究実績の概要 |
急性心筋梗塞に対して再灌流療法の普及は生命予後を大きく改善した。近年、再狭窄を予防する薬剤を塗布した薬剤溶出性金属ステントが導入され、慢性期の 再狭窄率は数%までに減少した。しかし、一見万能に見えた薬剤溶出性金属ステントにも、1. no-reflow現象、2. 遅発性ステント内血栓症、3. ステント末梢の血 管収縮機能異常など、患者予後に関係する新たな問題がクローズアップされている。 そのためこれらの諸問題を解決するため、様々な研究開発が精力的に行われている。例えば、我々の光干渉断層撮影装置(Optical coherence tomography; OCT)を用いた研究から、責任冠動脈病変性状がno reflow現象に関係している事が明らかとなり、その対策が講じられるようになった。また薬剤溶出のためのポ リマーによる血管応答が遅発性ステント血栓症に関与している事、長期にわたる金属ステントの高い血管保持力がステント植え込み部の血管収縮を阻害し、結果 としてステント末梢の機能異常をもたらしていることなどが明らかとなってきた。そのため2および3の問題点を解決する目的で、薬剤溶出型生体吸収性マグネ シウムステントが開発された。 しかし、生体内でのマグネシウム吸収過程における血管応答は不明な点が多数存在し、適切な金属吸収スピードや、適切な薬剤溶出スピードなどが不明なた め、薬剤溶出型生体吸収性マグネシウムステントの設計における大きな問題点となっている。 本研究では、動脈硬化モデル動物を用いた基礎研究およびヒト生体内における臨床研究の双方からのアプローチにより、これまでの様々な問題点を全て解決す る可能性を秘めた薬剤溶出型生体吸収性マグネシウムステント留置後の吸収過程における血管応答を明らかにすることである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
薬剤溶出型生体吸収性マグネシウムステント植え込み後のOCTでの解析は順調に進んでおり、国際学会でも発表を行っており、少し遅れてはいるが論文報告も予定している。
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今後の研究の推進方策 |
動物を用いた基礎実験と臨床研究でのデータを比較して、薬剤溶出型生体吸収性マグネシウムステント留置後の血管反応の違いや今後の問題点などを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に継続したデータ解析が必要であり、その結果を学会や論文で継続して報告する必要があるため。
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