本研究の目的は、近年開発された心臓MRI 4D flow動画を用いて、発作性心房細動を有する健常者と心原性脳塞栓症において、左心房・左心耳内血流パターンを比較し、脳梗塞患者に特徴的な血流パターンを見出し、脳梗塞発症予測の精度を向上させることである。 前向き単施設観察研究にて、発作性心房細動の既往のある患者20名(平均年齢74才)を対象に、心臓MRIを撮像し、各心房機能および心室機能、4Dflow動画での解析を行った。心原性脳梗塞OCIの既往の有無により、OCIあり群10名、OCIなし群10名に分けて解析を行った。 OCIあり群はなし群と比較し、患者背景ではCHADS-VAScスコアが高く(2.3 vs 1.6)、経食道エコーでの左心耳血流速度が速かった(52 vs 65 cm/sec)。MRIでの左房および左心耳の血流速度解析では、OCIあり群ではなし群と比較し共に低かった(左房:35.6 vs 43.7、左心耳:32.4 vs 43.8 cm/sec)。 発作性心房細動および脳梗塞の既往のある患者において、心臓MRI 4D flow解析により左心房血流の低下を認めた。今後症例数を増やし、脳梗塞と心臓MRIを用いた心房機能の関連性がより明らかになることが期待される。
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