研究課題
本研究は血管成熟化を制御する新規分子Ninjurin1(Ninj1)が、血管外膜から血管壁を栄養しプラークへのびる微小血管(vasa vasorum、VV)の成熟、安定化を介して、プラーク安定化に寄与していることを証明することを目的としている。これを証明するために、以下の達成目標をたて研究を進めた。目標1)マウスを用いた実験。血管特異的Ninj1欠損が、動脈硬化巣のVV形成とプラーク形成への影響の評価を行う。これに関しては、マウスの大腿動脈のワイヤー障害モデルを用い、周細胞特異的Ninj1欠損マウスで、VV形成異常および内膜の異常肥厚を認め、病態が悪化することを確認、論文化した。今後、その機序などの解明にむけて研究を進めている状況だが、昨年度より引き続きCOVID-19感染蔓延化問題により、動物実験運用が停止、再開を待っている。目標2)臨床の冠動脈プラーク組織を用いた実験。プラーク内の微小血管形成、成熟化とNinj1の発現との関連性を評価する。これに関しては、昨年度より当院及び関連施設にて、倫理委員会の承認を得て、対象となる症例登録を行っている。実際にDCA治療により、採取したプラークの透明化処理を行い、免疫染色にてNinj1の発現、血管や周細胞の分布などを三次元的に観察を行っている。今後、症例を集積し、評価を行う予定であるが、こちらもCOVID-19感染蔓延化問題により症例数が伸び悩んでいる。
3: やや遅れている
1)マウスを用いた実験系では、Ninj1のKOマウスで、wire障害モデルの病態が悪化することを確認し論文化している。今後、その機序などの解明にむけて研究を進めている 状況だが、現在COVID19感染蔓延の影響で当学内における動物実験運用が停止、再開を待っている。2)臨床の冠動脈プラーク組織を用いた実験では、当院及び関連施設において、倫理委員会の承認がおわり、実際に症例登録を行っている。昨年度の登録数は10症例で、解析実験を行っているが、こちらもCOVID-19感染蔓延化問題により症例登録数が伸び悩んでいる。
1)マウスの実験系では、ApoE、Ninj1-KOの両欠損マウスを作製し、動脈硬化病変を観察する。動脈硬化検体は連続切片を用いた脂質プラーク量、線維性被膜の厚度、プラーク不安定化の評価の他、CUBIC法を用いて組織透明化を行い、免疫染色後共焦点顕微鏡を利用して微小血管の形態などを3次元的に観察する。これらによりNinj1欠損による動脈硬化巣のVV形成とプラーク形成への影響を評価する。2)臨床の冠動脈プラーク検体を用いた実験では、引き続き症例数を増やし、透明化したプラークを3次元的に観察する。臨床症状から不安定狭心症群と安定狭心 症群に分けて評価、比較し、安定狭心症群でNinj1の発現および周細胞被覆率が高く、プラーク内出血が少ないことを証明する。また組織上のプラークの所見 と、臨床上の画像所見や、プラーク進展に影響する併存疾患や内服を含めた臨床像を対比させ、評価を行う予定である。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
American Journal of Physiology Heart and Circulatory Physiology
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10.1152/ajpheart.00931.2020.