本研究は血管成熟化を制御する新規分子Ninjurin1(Ninj1)が、血管外膜から血管壁を栄養しプラークへのびる微小血管(vasa vasorum、VV)の成熟、安定化を介して、プラーク安定化に寄与していることを証明することを目的としている。これを証明するために、以下の達成目標をたて研究を進めた。 目標1)マウスを用いた実験。血管特異的Ninj1欠損が、動脈硬化巣のVV形成とプラーク形成への影響の評価を行う。これに関しては、マウスの大腿動脈のワイヤー障害モデルを用い、周細胞特異的Ninj1欠損マウスで、VV形成異常および内膜の異常肥厚を認め、病態が悪化することを確認、論文化した。 目標2)臨床の冠動脈プラーク組織を用いた実験。プラーク内の微小血管形成、成熟化とNinj1の発現との関連性を評価する。これに関しては、初年度に当院及び関連施設にて、倫理委員会の承認を得て、対象となる症例登録を行ってきた。実際にDCA治療により、採取したプラークの透明化処理を行い、免疫染色にてNinj1の発現、血管や周細胞の分布などを三次元的に観察を行った。またプラークの切片を免疫染色し、プラーク組織内の性状も併せて評価している。臨床像とも比較して評価を行い、LDLコレステロール高値の症例では、プラーク内の微小血管の血管径が小さく密集している傾向を、また安定した先生プラークでは比較的太い微小血管の形成する傾向を認めた。現在論文作成中である。
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