研究課題/領域番号 |
19K17548
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 遥 東北大学, 医学系研究科, 助教 (90803883)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 右心機能 / 心臓MRI |
研究実績の概要 |
高血圧症患者では、右心機能が予後を規定する重要な因子である。本研究では、肺動脈病変進展の時間経過が肺高血圧症患者のそれに類似した肺高血圧モデル動物をもちいて、①心臓MRIを用いた形態学的変化、②組織学的変化、③多細胞心室筋を用いた生理学的変化、④心室筋ミトコンドリア内カルシウムとATP産生の変化を経時的に観察することにより、肺動脈圧の上昇によって右心室機能が低下する機序の解明を目指す。 これまで、肺高血圧モデルのラット(モノクロタリン皮下注後4週間)と対照ラットとを作成し、7-T小動物高磁場MRI装置を用いて心臓シネ画像を撮影した。容量計測・ストレイン解析を行い、経静脈的に右室圧を測定したところ、肺高血圧モデルラットは対照ラットと比較し、右室駆出率(RVEF)、右室長軸ストレイン(RVLS)が低下していた(p<0.05)。また、肺高血圧モデルラットでは、右室収縮期圧が高く、右室肥大が進行していた。MRI撮影後に右室から多細胞心室筋を摘出し、発生張力(F)および心筋収縮力としてdF/dtを測定したところ、肺高血圧モデルラットは発生張力、dF/dtが低下していた。さらに、RVLSはRVEFよりもdF/dtと相関がみられた。 さらに、肺高血圧モデルラットでは、右室円周方向ストレイン(RVCS)が上昇している群、低下している群とに分けられ、エンドセリン-1による右室圧を上昇させると、上昇している群では、RVCSが変化しないものの、低下している群ではRVCSがさらに低下し、それぞれの群で異なる結果を示した。これらの結果は、RVCSが右室の予備力を示しうると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年4~6月にかけて、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、研究機器の使用が制限されたため。 上記の結果は、2020年欧州心臓病学会(オンライン開催)および2021年日本循環器学会(オンライン開催)で発表した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、さらに心室筋ミトコンドリア内カルシウム・ATP産生の変化・病理学的変化について観察していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2020年4~6月に研究活動が制限されたため。 今年度は、肺高血圧症モデルラットにおけるATP産生、ミトコンドリア内膜のMCU、ナトリウム・カルシウム交換体の発現量を比較し、さらに肺高血圧MCU欠損マウスを用いて、ミトコンドリア内カルシウムと収縮能の関係について比較していく予定である。
|