研究実績の概要 |
本学をはじめとする7施設でフレイルやサルコペニアの診断に必要なデータを網羅する前向きの多施設レジストリーを構築し各施設の倫理委員会で承認を受けた施設からレジストリーへの登録を開始している。これまでに約200例を登録した。登録は2022年3月で終了し、それぞれの症例を2年間フォローアップする予定である。これまで、心不全患者やカテーテル治療を行った患者におけるフレイル・サルコペニアの指標と合併症や予後に関する研究は行われているが、ICD, CRT植え込み患者における同様の研究はないため、その点において独自性がある。データ収集項目としては年齢、性別、基礎疾患、内服薬、検査所見等の一般的な基本データに加えて、フレイル・サルコペニアの指標に関するデータ(DXA法による筋肉量測定、5m歩行速度、握力、Clinical Frailty Scale、上腕・前腕・下腿周囲長)を収集する。評価項目としてICD, CRT植え込み手技に関連する合併症(気胸、植え込み部血腫、感染、リード断線)、頻脈性不整脈に対するICD適切作動、心不全入院、死亡を収集する。このレジストリーを構築することにより、フレイル・サルコペニアを有する症例群が有さない症例群に比べて、① 合併症発生率が増加する、② ICD適切作動率が減少する、③ 心不全入院率が増加する、④ 死亡率が増加するという仮説が検証可能となる。これらの仮説を証明することができれば、フレイル・サルコペニアが進行した患者においてはICD, CRT植え込みのメリットが少なくデメリットが多いことが示され、ICD, CRT植え込みを行う際の費用対効果をふまえた正しい症例選択を行い医療費削減に貢献することが期待される。同じくデバイスであるペースメーカーに関する臨床研究を論文化した。
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