研究課題
ヒス束ペースメーカは2017年本邦に導入された新しいペーシングシステムである。心臓の刺激伝導系であるヒス束を直接捕捉してペーシングすることにより、従来の右心室ペーシングで懸念された非効率的な心室同期不全や、心拍出量低下から引き起こされる心不全発症を回避できる可能性がある。しかしながら長期的な予後や有効性・安全性についてはまだ不明である。本研究の目的は、ヒス束ペースメーカを植え込んだ症例を対象として前向きで多施設の共同研究を行い、ヒス束ペースメーカの有効性と安全性、心機能への影響や長期的な予後について検証を行うものである。すでに本研究の研究プロトコルと実施計画については、各研究実施共同施設の倫理審査委員会から研究実施の承認が得られており、WEB上の症例登録システムを通して症例の登録と研究を継続している状況である。今年度までに約80例以上のヒス束ペースメーカシステム植え込み症例の登録が得られた。個々の症例については、年齢層や基礎疾患など多岐にわたっており、さまざまな症例に対してヒス束ペースメーカ植え込みが行われていることが伺える結果であった。また植え込みが完了した症例については、継続してフォローアップを行っており、植え込み6か月後の短期評価項目の調査と、3年後までの長期評価項目の調査入力を順次行っている状況である。今後も引き続き症例の登録を続けるとともに、各評価を継続していく予定である。
2: おおむね順調に進展している
症例の組み入れ登録を継続しているが、現時点ではやや症例の見積もり数と比較して不足がちな状況である。
今後も引き続き症例登録を続けて、できるだけ多くの症例登録を目指す。また得られた結果をもとに分析を開始していく予定である。
学会出張などについて社会情勢などの影響が考えられる。今後は、成果発表や情報収集のために学会参加や発表準備費用が必要である。また症例登録システムの管理維持費用も必要である。
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Pacing and Clinical Electrophysiology
巻: 43 ページ: 1412~1416
10.1111/pace.13989