| 研究課題/領域番号 |
19K17562
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| 研究機関 | 大阪大学 |
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研究代表者 |
宮脇 大 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00838956)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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| キーワード | 拡張相肥大型心筋症 / 拡張型心筋症 / 冠微小血管障害 |
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| 研究実績の概要 |
拡張相肥大型心筋症は、重症心不全の原因疾患の１つであり、予後が悪く、拡張型心筋症との形態的類似性により、その鑑別は非常に困難である。鑑別を困難にしている原因は、拡張相肥大型心筋症の確定診断に必要となる過去の肥大期を画像的に捉えることの難しさである。拡張型心筋症と診断された症例の中には、過去の肥大期を捉えられていないため、拡張相肥大型心筋症と診断することができなかった症例があると考えられる。そこで、時間軸によって変化のない遺伝的情報に着目した。さらに、心筋線維化など従来の病理組織学的指標では両者の鑑別は困難であるが、その線維化を引き起こす前段階である冠微小血管障害は、過去の報告より鑑別に有用である可能性が示唆されている。以上より、本研究において、拡張相肥大型心筋症と拡張型心筋症を鑑別するのに有用なGenotypeおよび冠微小血管障害指標の探索を行うこととした。
確定診断のついた拡張相肥大型心筋症３８例、拡張型心筋症２３８例を対象とし、全エクソーム解析を行い、そのGenotypeを詳細に検討した。特に、肥大型心筋症および拡張型心筋症の両方のPhenotypeを示しうる遺伝子については、その遺伝子変異をより詳細に分類し検討を行うことで、Genotype指標は、従来の鑑別指標と同様に有用かつ、従来の指標と組み合わせることでより高い診断指標となることを見出した。さらに、そのGenotypeの指標が予後とも関連していた。今後、拡張相肥大型心筋症と拡張型心筋症といったPhenotype分類および、指標として有用と考えられたGenotype分類をもとに、心筋検体の冠微小血管障害に着目した病理組織学的指標の探索をすすめ、鑑別指標としての有用性を検討する予定である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象として非虚血性心筋症患者の臨床情報を収集し、拡張相肥大型心筋症３８例、拡張型心筋症２３８例を確定診断・抽出し、全エクソーム解析から詳細に検討した。拡張相肥大型心筋症の原因遺伝子変異については、既知の心筋症原因遺伝子には特異的なものは認められず、次に肥大型心筋症の原因として報告されている遺伝子に着目して検討を行った。肥大型心筋症の原因遺伝子のうち、特にMYH7とMYBPC3に関しては、肥大型心筋症と拡張型心筋症の両方のPhenotypeを示しうることが報告されており、Genotype指標での両者の鑑別精度が低くなる原因となった。しかし、両遺伝子については、遺伝子変異の存在する場所や変異の種類による分類に着目することで、高い鑑別精度のGenotype指標を得ることができた。さらに、そのGenotype指標は予後と関連していた。
拡張相肥大型心筋症と拡張型心筋症の鑑別に有用なGenotype指標および、その指標が予後と関連することは、臨床現場において有用となる可能性がある。さらに、検討課題である心筋検体における冠微小血管障害指標を探索するにあたり、臨床診断としての拡張相肥大型心筋症と拡張型心筋症というPhenotypeだけで分類するのではなく、背景にあるGenotypeに基づいた有用な分類を行うことで、より詳細な検討を行う基礎が得られた。
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| 今後の研究の推進方策 |
今回研究対象とした症例の、右室心内膜下生検検体、LVAD装着術時に得られた左室検体、心臓移植時に得られた右室および左室検体について、冠微小血管障害を評価する。冠微小血管障害の評価の方法については、過去の報告に基づき病理組織の冠微小血管密度を定量評価することを予定する。
定量的な冠微小血管障害指標について、拡張相肥大型心筋症と拡張型心筋症といったPhenotypeにおける比較、Genotypeにおける比較を行い、さらに、同一症例における時間軸にそった指標の変化についても検討する予定である。
上記の方法により得られた冠微小血管障害指標により、心筋症確定診断における有用性を検討、さらにGenotypeによる診断指標と合わせた指標の有用性についても検討を行う。得られた結果から、心筋症原因遺伝子変異と冠微小血管障害の関連について検討する予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
当該年度中に、心筋病理検体を用いた解析を一部開始する予定であったが、解析開始には至らなかった。そのため、当該助成金が生じた。心筋病理検体を用いた解析はすべて、次年度に行う予定とし、翌年度分として請求した助成金と合わせて使用させていただく予定としている。
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