最終年度においては、匿名診療等関連情報の提供に関する申し出を厚生労働省に申請し、厚生労働省が所有するDPCデータからの集計表情報の提供を受け、公表されているDPCデータよりも詳細な項目のDPCデータを用いて、利活用の可能性について検討を行った。 集計表情報からは、公表データからは算出が不可能であった、各心血管疾患の都道府県別の入院死亡率の算出が可能であり、急性心筋梗塞、心不全、急性大動脈疾患(解離性大動脈瘤・破裂性大動脈瘤)の入院死亡率を算出した。加えて、DPCデータから都道府県別の処置や手術の実施状況として、経皮的冠動脈インターベンション、冠動脈バイパス術、大血管手術、ステントグラフト内挿術、心大血管疾患リハビリテーションの実施件数の提供をうけ、都道府県単位の各心血管疾患の入院死亡率と、都道府県別の処置や手術の実施状況との関連性を評価することが可能であった。 研究期間においては、匿名診療等関連情報の提供について、個票データの提供は認められておらず、集計表情報の提供のみであるため、各疾患の重症度の影響を考慮した解析は困難であったが、政府統計の総合窓口であるe-Statにて公表されている、各都道府県の人口密度、性比、老年化指数を用いることで、都道府県の地理特性・人口特性の影響も踏まえた解析を行うことは可能であった。このように、厚生労働省から提供を受けることが可能な、DPCデータの集計表情報を利用することで、各都道府県における循環器疾患診療の現状評価や今後の対策を検討する上で、より都道府県単位で見た際の循環器疾患の予後に関連性が強い指標を選定し利活用する際に、匿名診療等関連情報を利用することは有用であると考えられた。
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