研究課題/領域番号 |
19K17566
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
小室 拓也 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (00760787)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 心房細動 / 血流解析 / 血栓 / Wall share stress |
研究実績の概要 |
心房細動(AF)の最も重大な合併症である心原性脳梗塞の原因となる左房内血栓の形成機序の解明ならびに予防につながる、多領域複合的アプローチによる診断および治療法を構築することを目的に、以下の項目に焦点を当て研究を行っている。 ①AFアブレーション前の症例において、4D flow MRIの撮影と、心臓超音波検査によるVFM解析によって、流体力学的手法による左房内血流評価に取り組んでいる。MRI、心臓超音波検査によって得られる左房内の血流情報を可視化することで血流量や血流うっ滞の様子を効果的に表現できる解析条件の検討を行っている。また、VFM解析では、健常者ボランティアによる正常コントロールの収集も行っている。 ②Wall share stress(WSS)と左房心内膜電位計測を基にした心内膜障害の評価:血栓形成と関連する心内膜障害について、血流解析を基にしたWSSと左房内のvoltage mappingによる情報を併せて、両者の関係性を検討している。 ③流体力学的、電気生理学的および血液学的手法を統合した抗凝固療法の構築:血栓形成に関する血流うっ滞、内膜障害、凝固能異常マーカーの情報を収集している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
心房細動アブレーション前の症例において、予定では洞調律時に4D flow MRIの撮影と、心臓超音波検査によるVFM解析用画像の撮像を予定していたが、当初予定していた以上に心房細動を呈している症例が多く、解析に適した画像の撮影ができていない。 また、左房内の血流情報を効果的に可視化する解析条件の検索にも時間を要している。 COVID-19の影響でアブレーション治療が一時中断されていることも原因としてあげられる。
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今後の研究の推進方策 |
治療が再開次第、継続的に症例を集め、血流解析によるWSSの評価および血液凝固マーカーの収集を行う。 術前の洞調律維持が困難な症例が続く場合は、対策として以下の方法についても考慮して検討を継続する。 ①薬剤もしくは電気的除細動による洞調律化を図る。除細動の適応は医師の判断が必要であるため、研究協力医師と相談の上、施行可能性について検討する。 ②撮像時期を術後の退院前などに変更する。撮像が術後になることの影響を十分に検討し、可能であれば変更を行う。 全体として、撮像できた症例の左房が比較的小さく、細かな部分の解析が困難であった。そのため、左側肺静脈と左心耳の画像上の分離などをいかに精度よく解析できるかが今後の課題である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究開始前は、4D flow MRI解析ソフトウェアiT flowアカデミック版ライセンスを2年分まとめて購入を検討していたが、まとめての購入ができなかった。また、データ解析用のパソコンの購入を1年早めた。そのため、当初予定していた金額の差が生じた。 生じた助成金は、令和2年度使用するライセンス料として使用する。
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