研究課題/領域番号 |
19K17569
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
白木 綾 佐賀大学, 医学部, 寄附講座准教授 (50638252)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ワクチン / EETs |
研究実績の概要 |
[動物実験について]本年度は、抗sEHワクチンを3種類作成した。はじめにBL6マウスN=4に投与し、それぞれ2週間毎にワクチンを投与し、血液を2週間毎に採取し、抗体の上昇をELISAシステムを利用して確認した。 N末端と中央付近に近いペプチド配列に関する2種類のワクチンにおいてマウス血清で抗体価上昇を確認した。ついで、Wisterラットに対しワクチンを投与したところ、マウスよりも効率的に抗体価上昇がみられたペプチド配列を同定し、ワクチン1と仮に命名した。 ワクチン1を投与したラットにおいて、LAD結紮を行い、心筋梗塞モデルを作成した。そうしたところ、ワクチン投与群においてLAD還流領域の心筋菲薄化が抑制され、血管染色においては栄養血管の増生がみられることが観察され、ワクチンの有用性が示唆されている。今後は実験を反復し、確実性をもたせることが必要である。 [質量分析実験について] ラットの全血にd11-EETを混和し、d11-DHET-に変換させる実験を行った。溶血させるタイミング、インキュベート時間、濃度設定、酢酸エチルによるEETs類成分の抽出方法決定、蒸発器における至適乾燥時間決定などのプレ実験を丁寧に行った。結果としては5分、10分、15分、20分においてd11-DHETになる変化率を観察する方法がよさそうであった。ワクチン1がsEH阻害効果を持つ中和抗体を産生させることを証明しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
sEH阻害が可能なペプチド配列を1年で同定できた。このワクチンは心筋梗塞モデルにおいて良好な結果をもたらすことを証明できた。質量分析にてEETとDHETを検出し、ラット全血においてsEH阻害効果があることを検出する条件設定が終了した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、心筋梗塞モデルについての実験を確定し、その機序に迫る実験をする。その後論文化、特許出願を目指す。心不全モデルにおいても実験を開始し、その適応を広げる試みを行う。質量分析におけるsEH阻害効果を証明する実験系を完遂させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費、その他費用に関しては、新型コロナウイルス流行のため、各学会が延期や中止になり、旅費は使用できなかったが、新型コロナウイルス流行の収束後、来年度以降に情報取集のための旅費としたい。 物品費については本年は動物実験を進めることを優先したため解析に使用する試薬の購入が少なかった。ただし、今後必要になることは明らかであり、来年度以降に使用したい。
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