研究実績の概要 |
【心筋梗塞モデルラットについて】ワクチン①群N=40、コントロール群N=30について心筋梗塞モデルを作成し、結果を比較した。心筋梗塞後1週間での心機 能(心拡大の程度、心収縮力)はワクチン群で改善しており、詳細な組織学的な検討では梗塞境界域での血管の増生を伴っていた。心筋における蛋白を見てみると、VEGF,eNOSの発現が増強していた。また、ワクチン治療を行ったラットの血液を用い て、sEH阻害効果がある中和抗体ができているかどうかを質量分析にて確認した。結果としてワクチン①群のラットの血液中の抗体はsEHを阻害し、EET-d 11をDHET-d11に分解するのを抑制する効果があることが分かった。以上の結果をもとに、今年度、sEH阻害ワクチンの製剤化をめざし、国内特許を申請した。またこの結果を学術誌Scientific Reportsに投稿し受理された。この結果を日本循環器学会、American Heart Association、国際高血圧学会に報告した。 【心不全モデルについて】ワクチン①ワクチン②を心不全ハムスター(50%生存が平均37週齢である短命ハムスターJ2N-k)ワクチンが心不全に効果があるかどうかを検討した。ワクチン①により生産される中和抗体にはハムスター由来sEH阻害効果があることを確認した。24週齢、26週齢、28週齢、30週齢でワクチンを投与し37週齢で心エコーや臓器重量で評価した。結果としては、心機能や生命予後に関し、ワクチンの効果ははっきりとは認められなかった。ただし、ワクチンを投与した健常ハムスターはコントロールハムスターにくらべ生命予後が長かった。今後その機序の解明が望まれる。
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