研究課題
冠動脈疾患患者におけるsPD-L1と心血管予後との関連性および冠動脈疾患の重症度とsPD-L1との関連性を調べた。2017年から2020年までの間に熊本大学病院に入院になった冠動脈疾患の連続症例における血中のsPD-L1をELISAキットで測定し、心血管予後を追跡した。主要評価項目は全死亡、心血管死、非致死性心筋梗塞、不安定狭心症、冠動脈再血行再建、心不全入院、脳卒中の複合エンドポイントとした。悪性疾患、維持血液透析、活動性の全身炎症性疾患は除外とした。結果、連続症例792例のうち、除外基準該当症例を除いた627例が登録され、追跡不能であった35例を除いた592例の解析を行なった。追跡期間中央値は522日であった。全体集団をsPD-L1中央値 136pg/mLで2群に分け、予後解析を行なったところsPD-L1が高値の集団は低値の集団と比較して心血管イベントが多くみられた。Cox回帰分析において、単変量解析における有意因子により多変量解析を行なったところ、sPD-L1は独立して有意に心血管イベントに関連していた(HR 1.002, 95% CI 1.000-1.003, p=0.039)。また、sPD-L1がフラミングリスクスコアのリスクカテゴリーを向上させるかC統計で検証したところ、sPD-L1はフラミングリスクスコアに付加的な心血管予測能をもつことが明らかとなった(C統計量:0.603から0.640に上昇, p=0.018)。以上からsPD-L1高値は冠動脈疾患患者における将来の心血管イベント予測因子であることが示された。
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