研究実績の概要 |
本研究の目的は、光干渉断層法(optical coherence tomography: OCT)が使用可能なサイドホール付きヒス束ペーシングデリバリーカテーテルを開発し、ex vivo, in vivoモデルを用い、組織性状をリアルタイムに評価して三尖弁の影響が少ないヒス束心筋内に留置することが可能か、仮説を実証することである。透視装置のみで行う従来の手術法に、生体内情報をリアルタイムに可視化するシステムを追加するという新たなコンセプトにより、今後のヒス束ペーシング手術の安全性及び確実性に大いに貢献することが期待される。ヒス束ペーシングの問題点を解決すべく左脚ペーシングなどの新しい刺激伝導系ペーシング法が報告され、当院でも本年度は前年度に続き臨床的に対応することに注力した。また、カテーテルのサイドからOCTにより心筋組織及びカテーテル自体を安定して描出できるかを検証するために、ex vivo心臓実験モデルを含む実験の体制に関しては、既存のカテーテル及びOCTなど準備し整え、OCTが使用可能となるサイドホール付きデリバリーカテーテルの開発をするために、本年度は前年度に続き当院で施行した更に40例の患者の3DCTを用いてカテーテルの形状などを検討した。開発したデリバリーカテーテルを用いたヒス束ペーシングの手術法を確立することを予定していることから、in vivo実験モデルを用いた実験系の体制を整えるよう対応した。また、本年度はヒス束ペーシングの有用性を確認することもあり、新しい右室中隔ペーシングである傍刺激伝導系ペーシングに関し臨床的に対応すると共に論文として報告することにも注力した。しかし、新たなペーシング法は確立されたものではなく、ヒス束ペーシングは依然重要なペーシング法であり、本研究を最終的には実現したいと考えており、本年度の取り組みが今後の本研究につながると思われる。
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