研究課題/領域番号 |
19K17584
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鎌田 塁 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (60836104)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | SKチャネル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は左室駆出率が保持された心不全(以下HFpEF)モデルにおけるSmall conductance calcium sensitive potassium channel(以下SKチャネル)の活性化、その機序およびその催不整脈性について探索することである。HFpEFモデルの確立に関しては、現在進行形で確立を目指している。一方SKチャネルの発現、機能的評価においては現在は正常ラットをの心房筋を使用して光学マッピング法およびパッチクランプ法を用いた機能的評価を行っている。現状では、心房筋でのSKチャネル電流を捉えることができるようになっており、今後はHFpEF条件下での心房および心室筋におけるSKチャネルの機能的評価、活性化機序の検討を予定している。活性化機序に関しては、これまで我々のグループが明らかにしてきた機序のほかにも想定されうる機序を、ウエスタンブロット法などを使用し検索していく予定である。また上記の正常心モデルにおける心房については、高頻度刺激を行うことで有効不応期の短縮が得られることを確認した。有効不応期の短縮をさらに追及すべく、光学マッピング法を用いた研究をすすめる予定である。現時点では心房筋を介した研究にて実験手法や手技を重ねており、本研究の根幹をなす部分であるHFpEFモデルにおける虚血条件でのSKチャネル活性および催不整脈性、およびその機序に関しても検討を重ねる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HFpEFモデルの確立が未だ十分ではないことが挙げられる。HFpEFモデルの作成においては本研究で提示したような高濃度生理食塩水を使用したモデルや、上行大動脈に狭窄を作成し左室心筋に圧負荷を加えるモデルが提唱されている。現時点では、SKチャネルの機能的評価を測定することに主眼を置いており、正常心モデルラットの心房筋を使用し光学マッピング法、パッチクランプ法を用いてSKチャネルにおける電気生理学的特性を検討している。実際の進捗状況として、パッチクランプ法を用いてSKチャネル電流を捉えることに成功しており、モデル確立が進展することで研究の展開が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
上述のように正常心モデルラットを使用し、SKチャネルにおける電気生理学的特性を検討できる環境となっており、HFpEFモデルラットの確立に重点を置くことで研究の進展が期待できる。一方、HFpEFモデルラットの作成により、心室性不整脈のみならず心房性不整脈に対するSKチャネルの電気生理学的特性についての探索も検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究による助成に関しては、主に実験にかかる動物の購入および光学マッピング等における試薬の購入が主体である状況であった。また、Small conductance calcium sensitive potassium channel(以下SKチャネル)に対する阻害薬やその他のカリウムチャネル阻害薬等の試薬にも助成を使用した。次年度以降も同様の実験形態を進めるとともに、試薬や動物購入費などの物品購入費が主体となる見込みである。
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