研究課題
本研究の目的は、左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)モデルにおける心筋虚血条件での催不整脈性とSmall conductance calcium sensitive channels(以下SKチャネル) との関連について明らかにすることである。HFpEFモデルとしては、高血圧性左室肥大を生じることによる拡張不全モデルとしてSpontaneous hypertensive rats(以下SHR)使用し検討した。低酸素潅流による全心筋虚血を誘発することで、催不整脈性を検討した。SHRにおける心筋虚血状態においては、心室性不整脈が生じたが、SKチャネルの選択的阻害薬であるアパミンを投与することでその頻度が減少することが確認された。膜電位/カルシウムトランジエント同時光学マッピングにて心室性不整脈の発症機序を検討したところ、カルシウムトランジエント持続時間より膜電位活動電位持続時間の差が開大することによる撃発活動による機序が示唆された。心筋虚血によって、カルシウムトランジエント持続時間は延長したが、アパミンを投与することに活動電位持続時間の延長が得られた。アパミンによる活動電位持続時間を延長が、カルシウムトランジエント持続時間より膜電位活動電位持続時間の差の開大を短縮させることで心室性不整脈の発症の抑制に寄与することが想定された。一方で、拡張不全心における心筋虚血によるSKチャネルの機能的活性化についての詳細な機序の解明については今後の課題である。
すべて 2021
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American journal of physiology. Heart and circulatory physiology
巻: 320(4) ページ: H1456-H1469
10.1152/ajpheart.00777.2020