研究課題/領域番号 |
19K17586
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
町野 智子 筑波大学, 医学医療系, 助教 (20755673)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 心房細動 / 心原性塞栓症 / 左心房 / 左心耳 / 経皮的左心耳閉鎖術 |
研究実績の概要 |
心房細動に伴う心原性塞栓症の予防治療は,ワルファリン時代から直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)と経皮的左心耳閉鎖術の時代へとシフトしつつある.しかしこれらの新しい治療を適切に行った場合でも稀ならず左心房血栓を生じることがあり,母集団の大きい心房細動患者においては決して無視できない残余リスクである.新規治療下での血栓リスクを層別化し予防に役立てることができれば,急増する心房細動患者の予後改善につながる可能性がある.心原性塞栓症予防の新時代における残余リスクを拾い上げるため,本研究の目的はDOAC内服,もしくは経皮的左心耳閉鎖術施行後の心房細動患者において,マルチモダリティによる左心房・左心耳の機能と形態の評価,血液マーカー測定により,左心房血栓のリスク因子を明らかにすることである. 研究対象は,DOACや経皮的左心耳閉鎖術による治療を受けた非弁膜症性心房細動症例である.経食道・経胸壁心エコー及び心臓CT画像のオフライン解析により,左心房,左心耳の機能・形態を反映する各指標を計測する.また血液マーカーを測定し,左房・左心耳内血栓と関連するリスク因子を明らかにする。各指標は多変量ロジスティック回帰分析により,その左心耳血栓予測のオッズ比を算出,それにより重みづけをした新規の血栓リスクスコアを開発する.また開発スコアと従来スコア(CHADS2,CHA2DS2-VAScスコア)との比較による純再分類改善度を算出し,付加的な価値があるかを検討する.これまですでに1500例のDOAC内服症例の経胸壁・経食道心エコー所見,心臓CT所見,臨床背景などの情報を網羅したデータベース構築が完了しており,現在統計解析と論文執筆を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DOAC内服症例に関してはデータ収集を進め,1500例のデータベース構築を完了し,現在統計解析と論文執筆を行っている。経皮的左心耳閉鎖術に関しては,昨年に続き新型コロナ感染症の流行も影響してか,当初予定していたよりも症例数が少なく,また術前の経食道心エコーで,左心耳内高度もやもやエコー(血流うっ滞所見)により,血栓の除外が難しく手術に進めない症例が散見されたため,「心房細動症例の左心耳血栓診断のためのイソプレナリン投与の有用性を検討する」ことを新たな課題として研究計画を変更した。
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今後の研究の推進方策 |
経皮的左心耳閉鎖術の症例数を増加させるため,その律速段階となる術前の左心耳血栓除外を行いやすくする必要があると考えた。過去の症例報告を参考とし,左心耳内血流うっ滞が強い心房細動症例において,術前の経食道エコーで左心耳血栓を診断しやすくするために,イソプレナリンを検査中に投与することの安全性・有用性を検証する特定臨床研究を2021年1月より開始している。(イソプレナリンの同目的での使用は、医薬品の適応外使用となるため、筑波大学臨床研究審査委員会での審査を経て、特定臨床研究として行っている)。これにより,心房細動と左心耳血栓に関する新たな知見も得られ,また左心耳閉鎖術検討症例のスクリーニングを効率的に行うことができると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行により,参加予定であった学術集会や研究会が複数延期・中止となったため前年度未使用額が生じた。次年度は,収集したデータを解析するための統計ソフトや論文作成時の文献整理ソフト,英文校正,論文投稿費に予算を使用する予定である。
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