研究課題/領域番号 |
19K17588
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 愛巳 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (60832045)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | PARP / DNA障害 |
研究実績の概要 |
本研究では、PARPの心機能へ与える影響を解明することを目的としている。 まずはじめに、PARP阻害薬を投与したマウスと左室圧負荷心不全モデルマウスを用いて、組織学的評価を行った。左室圧負荷心不全モデルマウスでは、DNA損傷が起きることが知られているが、PARP阻害薬を投与した圧負荷モデルマウスにおいて、コントロール群と比較して、著明にDNA損傷の改善を認めた。本来DNA修復に関わるPARPを阻害することで、DNA損傷が減少するという、逆説的な現象は、申請書に記載した、PARP阻害薬による心機能改善効果と方向性が合致する結果であった。DNA修復タンパクとしてのPARPの新たな作用を検索するため、現在、cre-loxpシステムを用いて、心筋特異的PARP KOマウスと心筋特異的PARG KOマウスを作成すべく、交配を進めているところである。また、PARPの転写因子としての作用を検索するために、シングルセルRNA-seq、H3K27acやATAC -seqの時系列解析用サンプルを蓄積しているところである。サンプルがまとまったところで、次世代シーケンサーを用いて、エピゲノム 解析を行う。また、DNA障害とPARPの関連を明らかにするために、DNA障害のマーカーであるγH2AX染色とフローサイトメトリーを用いて、γH2AX染色陽性細胞、と非陽性細胞をソートし、バルクでRNA -seqを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である、PARPの機能をDNA修復、転写制御の両面から解析することに対して、次世代シーケンサーを用いた、RNA -seq、エピゲノム 解析は必須であるが、時系列でのサンプルの回収は概ね順調にできており、令和2年度には、解析を終える予定である。結果を踏まえて、最終年度(令和3年度)には、PARPの心機能における役割を分子生物学的に検証する予定であり、現時点では、本研究は、概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
現在、RNA -seq、エピゲノム 解析のための、時系列でのサンプルの回収は順調に進んでおり、今後慎重にライブラリー作成を進め、当研究室の次世代シーケンサーで解析を行う予定である。またその結果を、様々な角度から解析した上で、分子生物学的実験を行う。それによって、PARPの転写因子としての機能を含め心機能における役割を解明していく。
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